アトピー性皮膚炎とは?

 そもそもアトピー(アレルギー)とは何なのでしょう?どのようにして治るのでしょうか?

 アトピーとは口や粘膜や傷のある皮膚から入ってくる食べ物や飲み物に含まれる環境汚染物質を体内から免疫によって排除する働きであります。何故アトピーは増えたのでしょう?文明の高度な発達によって作り出された農薬をはじめとするおびただしい種類の化学物質により、環境が汚染され、飲食物や空気と一緒に体内に侵入するようになったからです1)

 どうすればアトピーは治るのでしょうか?アトピー患者は皮膚にわざわざ湿疹を作って、その湿疹の中に体内に取り込まれた異物を取りこみ、痒みを感じさせ、引っかき破って体外へその異物を排除しようとします。異物である敵は無限に食べ物や空気から入ってくる化学物質であり、それを排除する武器は有限であるIgE抗体であります。排除しても無限に繰り返し入ってくる化学物質を永遠に排除することは不可能であり、有限は無限に絶対に勝つことはできないからです。人体はこのような無駄な戦いを共存という形で終結します。この時免疫の働きを無理やり抑えて症状を改善しない限り必ずこのような化学物質と共存できるのです。この共存の為に「免疫寛容」というシステムが人体に備わっているのです。この免疫寛容を行うリンパ球をサプレッサーT細胞とか、制御性T細胞2)などと呼んできたのですが、最近京大の坂口志文先生が見つけました。症状を改善する為に免疫を抑えると、サプレッサーT細胞の働きも発揮されず、永遠に免疫寛容が起こらず、治らない病気となる3)のです。

 この免疫寛容を起こすまでにやるべきなのは、戦いの後に見られる皮膚の傷を治し、その傷に繁殖する黄色ブドウ球菌を殺すことを繰り返すことです。 そうすれば、体の中で起こっている異物を排除するアトピーの戦いは免疫寛容を起こして終わってしまうのです。なぜ、ブドウ球菌を殺すのかと言うと、アトピー以外に新たに感染症を起こすことになるからです。そのうえにブドウ球菌はα毒素と言われる内毒素を何種類も作り出し、これが新たなるアレルゲンとなり、いつまでも症状がなくならないのです4)

 免疫寛容とは、人体の中でIgE 抗体が作られなくなっていき、環境汚染物質を受け入れて、共存するようになり、最後にはアトピーのあらゆる症状は自然と消滅してしまうわけです。

 昔も天然の化学物質に対してアトピーを起こす人もいましたが、放っておけば自然に治ったものです。これも免疫を抑えなかったために知らず知らずのうちに免疫寛容が起こって、天然の化学物質といつの間にか共存可能となったのです。これは、原理も分からずに1796年にエドワード・ジェンナーが、牛痘ワクチンを経験的に発見して天然痘を治し、その後、免疫学が発達してワクチンの原理が完全に解明されたのと同じことなのです。

 リバウンドと免疫寛容を起こすまでのプロセスは個人によって差がありますので、いつ免疫寛容を起こしたのかとか、リバウンドが終わるかを予言はできません。アトピーをなるべく早く治すため、私に相談せず他の病院や市販の風邪薬や・点鼻薬や、点眼薬などは使わないでください。というのも、製薬メーカーが作る薬の中には免疫を抑制するものがあり、制御性T細胞の数や働きが抑制される可能性があるからです。

 松本医院のアトピー治療に励む人達に一言。私は人体の免疫の働きを手助けするだけで、アトピー自身を治しているのは患者さん自身なのです。

参考文献
1)厚生労働省 「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト」
2)独立行政法人 理化学研究所 「皮膚アレルギーの火消しは、炎症患部から大量移動する制御性T細胞」
3)大野 勲 「ストレスのアレルギー疾患への影響」
4)中川誠太郎・松岡 (中村) 悠美 「黄色ブドウ球菌に由来する外分泌毒素PSMαはケラチノサイトからのアラーミンの放出を介してインターロイキン17に依存性の皮膚炎を惹起する」