クローン病の完治の理論と根拠

 (クローン病は潰瘍性大腸炎が、より進展した病気ですから根本的には同じ膠原病であるので同じ理論となります。潰瘍性大腸炎の方は『クローン病』を『潰瘍性大腸炎』と読み替えてください。また同じ膠原病であるリウマチの理論とも合わせて読んでください。)

1932年にクローンによって見つけられた膠原病のひとつであるクローン病についての理論をやっと書く気になりました。クローン病に限らず、膠原病の根本原因は人間にとって異物である環境汚染化学物質であり、それが人体に摂取され、結合組織に蓄積し免疫に認識されIgG抗体で処理される時に生じる病気であることは言うまでもありません。近代文明は人工的な人間にとって異物となる化学物質を大量に作り上げたために、その化学物質と人体の様々な蛋白質が結びついて初めて免疫に異物と認識され、排除する正しい戦いが始まり、その時に見られる症状を膠原病というわけです。この蛋白をキャリア蛋白と言い、化学物質をハプテンと言い、キャリア蛋白とハプテンとの複合体を抗原と言われるのは既にご存知でしょう。

ここでついでにアレルギーや膠原病が完治するという意味について述べておきましょう。理論的には同じ抗原に対して免疫寛容を起こすことであり、検査データ的には様々な炎症所見が陰性となり、自覚症状的には膠原病やアレルギーの症状が同じ抗原にさらされても出なくなることです。

潰瘍性大腸炎とクローン病は全く違った病気であるように書き立てられていますが、結局は同じ病気であるのです。ちょうど気管支喘息とアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎やアトピー性皮膚炎が同じ原因で生じ、同じ免疫の働きで起こっているのと同様に、異物を排除しようとする結合組織の部位が違うだけなのです。

まず、腸管の簡単な構造について説明しておきましょう。小腸は3つの部分から成り立っています。まず、胃の直後にある十二指腸、次に空腸、最後に回腸となります。回腸の後に大腸が続きます。大腸の始まりは盲腸であります。その後に長い結腸と続き、最後に直腸となって終わります。直腸の後が肛門であることはご存知でしょう。

さて、大学病院で診断された数多くの潰瘍性大腸炎の患者さんを治療しているうちに、これはクローン病ではないかと思うことが時々ありました。クローン病は昔は限局性回腸炎と言われたことがあります。ところがクローン病は小腸のみならず、大腸や食道にまで炎症が波及することがわかりました。従ってクローン病と潰瘍性大腸炎の判別がはっきりしなくなってきたのです。クローン病の特徴のひとつは肛門周辺の痔ろうが多いと言われますが、潰瘍性大腸炎でも直腸型のタイプのものでは、肛門周囲膿瘍などがよく見られ、この両者の鑑別が難しいことがあります。このような困難さは同じ原因の膠原病を無理やり二つの病気に分けようとするからこそ生ずるものです。これはちょうど、喘息とアレルギー性鼻炎を持っている場合と似ています。この場合もほとんどの人がアレルギー性鼻炎でありますが、同時に花粉のために喘息も起こす人も数多くいます。結局は花粉に運ばれる化学物質を鼻で捕まえてしまえば気管支喘息は起こらないのです。従って、喘息の人が遥かに少ないのは当たり前のことです。このようなつまらない診断の誤りが生ずるのは、病気を症状の出る部位別に分けようとするからです。原因を考えれば部位とか臓器とかに分けて病名をつける必要はないのです。原因が同じであれば治療の原理は全て同じなのです。

なぜこのような病気を診断する際に、このような問題が生ずるのでしょうか?答えは簡単です。昔は免疫学が全く暗黒の世界であったために、症状別に病名を作り、かつ臓器別に病名をつけていったためです。病気の原因がわからなかったために、同じ原因で起こる病気を無理やりに臓器別に鑑別して別々の病気に仕立てようとしたためです。例えば、今でこそアレルギー科という標榜科目が許されていますが、昔はアレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎(アトピー)、アレルギー性気管支炎(気管支喘息)は別の疾患として書かれていました。つまり、症状別や臓器別に病気を分けようとしたために、同じ原因で起こるアレルギーを別々に分けてしまう誤りにやっと厚生労働省が遅まきながら気がつき始めたのです。このようにクローン病も潰瘍性大腸炎も、実は同じ膠原病であり、腸管結合組織病とひとつにまとめられる日が来るでしょう。

さて、私はリウマチの理論を語った時に、リウマチは潰瘍性大腸炎の関節型であり、潰瘍性大腸炎はリウマチの大腸型であると述べました。同じようにクローン病でも合併症として結節性赤斑や、関節炎や、紅彩炎(ブドウ膜炎)がよく見られると言われますが、これも当たり前のことなのです。結局は体内に摂取された化学物質である異物が、どれかの臓器の結合組織(膠原線維)に沈着し、炎症を起こす病気を膠原病と称しているだけですから、わざわざ臓器別に病気の名称を変える必要はないのです。しかしながら人間の体は60兆個の細胞で成り立っています。その60兆の細胞は役割に応じて270種類の細胞集団に分けられます。そして、この細胞を結びつける結合組織は270箇所にあります。(血液の中に含まれる赤血球や血小板や白血球は細胞集団ではありますけれども、固定された結合組織を持っているわけではないと反論する人もいるかもしれません。しかしこれらの血球集団は流れる細胞集団と言えます。この流動する細胞集団の結合組織は血漿であります。つまり粘着性のある血漿によって血球は結び付けられると考えられます。)この結合組織そのものは、細胞の種類にかかわらず全て同じ種類の膠原線維からできていると考えられます。従って、これらの270種類の細胞の結合組織に異物が沈着し、この異物を排除するために炎症が生じる可能性があるわけですから、270種の膠原病が生じても不思議ではないのです。しかし現在のところ、自覚症状を基にして確認された膠原病は50数種類と言われていますが、やはり一番多い膠原病はリウマチなのであります。リウマチが一番多い膠原病である理由は、やはり関節が体中に210箇所もあるからです。つまり、体内で結合組織が最も多い組織は関節であるが故にリウマチが圧倒的に生じやすいのです。

近頃、若い潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんが増えてきました。なぜでしょう?答えは簡単です。その理由はふたつあります。まず一つ目は、環境汚染化学物質がますます増えてきたためです。食べ物や水や空気が、近代化学工業が作り出した化学物質、いわゆる環境汚染物質に汚染されてしまったからです。農薬、化学肥料、保存剤、防腐剤、着色剤、香味料など、その他さまざまな食品添加剤、下水を浄化するために加えられるあらゆる殺菌剤や水質改善剤、さらに毎日摂取する飲食物に何万種類もの化学物質が含まれます。このような異物が毎日平均10gも人体に入り込んでいると言われています。これらの異物が体内に吸収されると、あらゆる結合組織に蓄積されていきます。そして結合組織に見られる様々なタンパク質と結びついて複合体となり、これが人間の免疫に異物と認識され、抗原となり、これを排除しようとする戦いが始まります。IgG抗体やIgE抗体を作るためには必ず異物は蛋白と結びつかなければなりません。元来、これらの異物はアレルギーで処理されるべきものが、膠原病として処理されるようになったのです。つまり、IgEの世界からIgGの世界で異物を処理しようとするので膠原病となるのです。なぜアレルギーで処理されるべきものが膠原病で処理されるのでしょうか?これが、潰瘍性大腸炎やクローン病を起こす二つ目の原因となります。以下説明しましょう。

つまり、IgEの世界をIgGの世界に変える理由は何か、であります。それはストレスです。世界中の資本主義的自由民主主義的な先進国は、生まれたときに皆人間は平等であると考えています。そして資本主義社会において成功することはつまり、高い社会的地位を確立し、かつお金を儲けることです。皮肉なことに出発点が平等であるがゆえに、全ての人は競争を余儀なくされます。この競争はもっと正しく言えば、能力を最大限に磨く競争といえます。生まれて物心つく前から社会は人間の能力を評価し始めます。実を言えば、生まれたときにもう既に遺伝子の違いがあり、平等ではなくて能力には差がありますが、建前はないことになっています。しかしその能力があるかないかは、まず学校の成績から始まります。つまり学力競争です。学力競争で差別され社会に出て行きます。社会に出れば出るで、自分の力で稼がなければなりません。のんびりしていては学力競争も稼ぎの競争においても遅れてしまいます。これに打ち勝つためには常に努力を強制されます。努力は常に交感神経を刺激させ続けることによって支えられます。ストレスに耐えるためにアドレナリンやストレスホルモンであるステロイドを最大限に毎日毎日作り続けます。アドレナリンやステロイドがなければ戦う気力も出てこないのです。戦う前から負け犬となってしまいます。
現代の免疫学はアドレナリンやステロイドが戦いのホルモンであり、免疫を抑えることを証明しております。従ってこのような継続した戦いの生活は免疫を必ず抑制します。もちろんストレスを朝も昼も夜も続ければ、それこそ過労死や鬱になってしまいます。ところが休んでいる間に副交感神経が優位となり、一時的にストレスは開放されますが、同時に免疫系の抑制も取れ、リバウンドが出現します。これを毎日毎日繰り返すことは、医者から病気のために炎症を抑えるステロイドホルモンや頭痛薬や解熱剤を投与されている状態と変わりなくなってしまいます。そのうちに毎日体内に侵入してくる化学物質が膠原線維と結びついて、これが複合抗原となりヘルパー1Tリンパ球に認識され、Bリンパ球にIgG抗体をがどんどん作るように命令し、この複合抗原(キャリア蛋白と化学物質であるハプテン)と、このIgG抗体とが結びつき、これらが好中球や大食細胞やNK細胞に食われてしまうのです。これらの貪食細胞は異物である化学物質を溶かそうとしますが、元来、殺して溶かすことができない異物ですから、溶かしきれず結合組織に吐き出し、同時に活性酸素やペルオキシダーゼなどの様々な酵素も放出し、結合組織に炎症を起こし、結合組織のみならず、その周辺の実質細胞も破壊し、あらゆる膠原病が生じてしまうのです。それが消化器官で生じれば、クローン病や潰瘍性大腸炎となるのです。

このようにして、ストレスがなければ、元来簡単にIgEを作ってアレルギーで排泄すべき異物を、あらゆる組織の結合組織で膠原病を起こしてしまうのです。従って、クローン病は難病中の難病と言われますが、潰瘍性大腸炎と比べてことさら難病という必要もないのです。というよりも、潰瘍性大腸炎が消化管全てに及んだときにクローン病になると言った方が正しいのです。従って、クローン病の根本治療は、潰瘍性大腸炎の治療と同じく、膠原病の武器であるIgGを自然にクラススイッチして、アレルギーの武器であるIgEに変えてしまうと、クローン病の症状である腹痛や下痢や出血がアレルギーの痒みに変わり、最後は自然後天的免疫寛容を起こせばよいのです。このために様々な免疫を上げる手法を駆使すれば、自然にクラススイッチと免疫寛容が生じて、環境汚染物質である抗原と共存できるようになるのです。

膠原病性大腸炎であるクローン病と潰瘍性大腸炎は下痢を主症状とする場合が多いのですが、アレルギー性消化管下痢との大きな違いは、出血があるかないか、また腹痛があるかないかによって臨床的には鑑別できます。既に述べたように、IgGと結びついた抗原は、さらに貪食細胞と結びついてはじめて貪食細胞は組織を破壊させる活性酸素や酵素を結合組織に放出して、血管を傷つけて出血を起こしたり、発痛物質であるアミン類(セロトニン、アセチルコリン)やペプチド類(ブラジキニン、サブスタンスP、バゾプレッシン)や、脂肪酸(プロスタグランディン)などが放出され、これが痛みや出血を起こすのです。

一方、IgEと結びついた抗原は、肥満細胞や好酸球や塩基球などの白血球と結びついて、ヒスタミンを大量に出させて主に痒みを感じさせるからです。このヒスタミンは、痛みを引き起こしたり血管を傷つけることはほとんどないのですが、血管を広げ、血管内細胞の透過性を高めて、下痢を引き起こすことがあるのです。

このようなIgGの世界からIgEの世界へとクラススイッチしてはじめてIgGがIgEになるのです。ヘルパー1Tリンパ球はBリンパ球にIgGを作らせるのですが、Bリンパ球にIgGからIgEの抗体を作り変えるように命令するのは、ヘルパー2Tリンパ球であります。ヘルパー1Tリンパ球よりも始めは遥かに数少なかったヘルパー2Tリンパ球にも、IgG抗体で殺しきれなかった抗原がヘルパー2Tリンパ球にどんどん結びつくようになると、ヘルパー2Tリンパ球が増えだし、多くのインターロイキン4を出し始め、インターロイキン4がBリンパ球に結びつくと、Bリンパ球はIgGからIgEに抗体を作り変え始めるのです。これを抗体のクラススイッチと言います。クラススイッチをするリンパ節は腸管に無数にあるパイエルパッチです。ちなみにこのクラススイッチの遺伝子をBリンパ球に初めて見つけたのは京大の本庶佑であります。

ここで免疫を抑制することとリバウンドについて詳しく説明しましょう。まず免疫の仕事はほとんどが蛋白によって行われます。異物が侵入したときにその異物を認識するレセプターも蛋白でありますし、その情報を核に伝えるのも蛋白である酵素であり、さらにその情報を受け取って作られる発信情報物質の全てが蛋白でありますし、その情報物質の担い手であるインターフェロンやサイトカインも全て蛋白であります。例えば自己が自己であることを証明する身分証明書と言ってもよいMHC1やMHC2も蛋白ですし、免疫の反応をカスケード式に進めていくサイトカインといわれる情報物質の全てが蛋白であります。免疫の働きは情報伝達のサイトカインネットワークと言われるように、このサイトカインという蛋白がなければ免疫の働きは一切生じません。

人体には十万種類の蛋白が毎日作られているといわれますが、それではこのような蛋白は誰が作ることを指令しているのでしょうか?まさに今をときめく遺伝子なのです。従って免疫の働きを止めたり抑制したりするということは、とりもなおさず遺伝子の働きを止めていることになるのです。現代の基礎医学は毎日毎日新しい蛋白を見つけ、免疫がどのように組み立てられているのかを解明しています。生命は全て遺伝子によって命令され、生老死を繰り返しています。かの有名なリチャード・ドーキンスが言っているように、生命体は遺伝子の乗り物に過ぎないのです。38億年かけて生命は進化してきましたが、その元は遺伝子であり遺伝子の変異によって進化してきたのです。確かに人間のゲノムは全て解明されたといいますが、それは単なる30億対の塩基配列が分かっただけで、遺伝子の働きが解明されたわけではありません。

本論に戻りましょう。遺伝子の働きを人為的に一時的に抑制したとしても、遺伝子は必ず修復の遺伝子を発動させて、正しい働きに戻そうとします。現在、数万種類の薬が用いられていますが、症状が取れれば効果があるとして厚労省は薬を認可しますが、その作用機序については不明な薬が山ほどあります。ましてやそれらの薬がどれほど遺伝子の働きを変えているかについては全く分かってはいないのです。本当に価値ある薬は免疫をヘルプする薬だけです。それはワクチンと抗生物質だけです。

あらゆる炎症をたちどころに止めてしまう薬はステロイドです。ステロイドがNF-κBという遺伝子の転写因子の働きを抑制し、遺伝子の発現を抑えているということは分かっていますが、このようにしてステロイドによって無理やり変えられた遺伝子の発現がどのようにして元の正しい状態についての研究は、現代の分子生物免疫学のレベルでも簡単に答えは出ていません。

ステロイドをやめると徐々に免疫の遺伝子は修復されて、再び異物を吐き出す戦いを始めます。つまり免疫力が回復し、症状が激しくなっていきます。これが免疫抑制剤離脱症状、つまりリバウンドと呼ばれているものです。

病気を治すということは、まず第一に異物を体内に入れないことです。既に述べたように、異物には2種類あります。殺さなければ自分が殺される異物であります。今はやりの豚インフルエンザであります。免疫の弱い人は死ぬことがあります。二つ目の異物は増殖しない死んだ化学物質であります。いわゆる全ての環境汚染物質が人体に侵入したときに、それを異物と認識できる賢い免疫の持ち主、つまり優れたMHC遺伝子の持ち主はそれを排除しにかかります。これがアレルギーです。アレルギーの武器はIgEです。さらにこの働きがあるにもかかわらず、免疫を抑え続けるとIgEの世界がIgGの世界にとどまってしまいます。既に述べたようにこれが膠原病です。膠原病は本来IgEで処理し、最後は免疫寛容を起こして共存することができる敵と一時的に戦っているだけなのです。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?免疫を抑えるからです。

免疫を抑える方法は2種類あります。ひとつは免疫を抑える薬です。二つ目の免疫抑制の原因はストレスです。現代は金が全てを支配する力の源泉です。そのために子供の頃の教育を含めて、まさに金の取り合いをする競争社会になっています。ところがこの世で一番難しいのはお金を稼ぐことです。間単にお金を稼ぐために犯罪が蔓延しています。それに加えて自由に快楽を求めようとして、人間関係も複雑になり、交感神経を毎日刺激し続けます。複雑な社会において鬱にならないためにストレスホルモンであるステロイドホルモンを毎日過剰に産生し続けます。交感神経の刺激によって生み出された副腎髄質ホルモンであるアドレナリンも、副腎皮質ホルモンであるステロイドホルモンも、全て免疫を抑え続けます。このようにして大量の文明が作り出した環境汚染物質にさらされ、かつ様々なストレスに対抗するために常に免疫を抑えてしまう副腎皮質ホルモンを出し続け、免疫を抑えて風邪などの感染症にかかりやすく、体内の寄生ウイルスであるヘルペスウイルスを増殖させ続けると同時に、アレルギーが増え続けると同時に、膠原病も増大し続けます。

このように免疫を無理やり抑えられてきた患者が松本医院において治療を受けると、徐々におびただしい数の細胞の免疫の遺伝子が正常に回復される途上で、離脱症状が出現します。この時に生じる正しいの免疫の働きである炎症反応を乗り越えさせることが私の腕の見せ所となるのです。

病気の治し方は異物である敵を殺すか共存するかだけなのです。このメカニズムこそ免疫が自然にやってくれる働きなのです。

当院の治療では、ステロイドにしろペンタサにしろ、徐々に量を減らしゼロにしてしまいます。とりわけ、ステロイドは突然にやめると副腎機能不全を起こし、ショック状態をもたらすことがあるので慎重に減らしていきます。もちろん来られたときには既に自分の副腎が作り出すステロイドホルモンで生きているのではなくて、医者の投与した人工ステロイドホルモンで生き続けている人がたくさんいます。そのような人はますます注意しながらステロイドを減らし、自分のステロイドの機能を回復させるまでは目を離せないのです。ペンタサも大量に長期に飲み続けている人はすぐに止めるととんでもないリバウンド症状が出て、脱水症状や栄養不良状態を起こし、生命が脅かされることもあります。クローン病のほとんどの患者さんは人工栄養剤であるエレンタールを摂取しています。もちろん何を食べても良いのですが、ステロイドやペンタサを減らしている途中で普通の食事では下痢がひどくなる人は適当にエレンタールを食べてもらうことあります。また、下痢がひどい人は水分のみならず、電解質も減っていきますから、スポーツドリンクを飲んでもらうこともあります。さらにアルブミンが減っている人が多いのでその原料であるアミノ酸を服用してもらうこともあります。

いずれにしろ免疫を抑える製薬メーカーが作っている全ての薬をやめないと、クラススイッチや免疫寛容あ起こりにくいのです。完全にこのような薬を止めて初めて徐々に免疫が回復しだします。それと同時に様々な症状、とりわけ下痢、下血、腹痛が一掃悪くなることがありますが、これを漢方と私の理論で乗り切っていくのです。下痢がひどいときには脱水症状に常に気をつけ、下血がひどいときには貧血の度合いを監視しなければなりません。腹痛がひどければ腸管破裂ということも考えられます。ただ、腸管の炎症はほとんどが粘膜に留まり、粘膜筋層にまで至ることは滅多にないうえに、筋肉は非常に密に詰まっていますから結合組織が少ないので、腸管が破裂するまで炎症が波及することないのだと考えています。

免疫の仕事はただひとつ、敵である異物を殺すか排除するかのどちらかなのです。敵であるかどうかはMHCが同じであるかないかで決めているのです。臓器移植の時には他人の異なったMHCが侵入してくるので即座に敵と認識し、その臓器を拒絶してしまいます。ところがMHCを持っていない異物が入った時に、免疫はどのようにして敵と認識するのでしょうか?これも答えは簡単です。まず自分の味方、つまり自分の独自のMHCにその敵を捕まえさせて、ゆっくりとその敵を煮たり焼いたり食べる方法や捨てたりする方法を考え出したのです。これをMHC拘束性と言います。いわばまずMHCという警察に敵を捕まえさせて、それを裁判にかけてTリンパ球やBリンパ球という裁判官に殺すかどうかを判定させるという、まさに人知を超えた素晴らしいシステムを進化の中で作り出したのです。

医学を研究しても人体を利用することは決してできません。ところが数学や物理は研究すればするほど新しい発見がどんどん見つけ出されると同時に、その原理を人間の幸せのためにいくらでも活用することができるのです。物理や数学の真理は生命と違って進化には関わりがないうえに、現象は変えても真理は絶対に変えられないからです。実は同じことが人体についても言えるのです。隠れた正しい人体の免疫の働きを現象である症状を変えようとすることは一時的に可能ではありますが、免疫の遺伝子そのものを永遠に変えることは絶対にできないのです。

遺伝子こそが全ての病気を治してくれる名医であります。この名医の働きを介助するのが医者である私なのです。病気を治す主人公は医者でも薬でもありません。免疫の遺伝子こそヒーローなのです。しかし免疫だけでは実は病気を治すことはできないのです。患者自身も自分の免疫の働きを手助けする必要があるのです。というのは、患者自身が免疫の働きを抑えることがあるのです。それはストレスです。ストレスこそが免疫の敵なのです。従って常にストレスから開放される生き方をする必要があります。免疫の働きと心の働きは連動しているのです。この意味であらゆる病気は肉体の免疫と心で治すべきものだと言えるでしょう。

最後に一言、病気は自分で作り、自分で治すものです。